ひとりの人物に絞って考察・妄想を語る「東方よみかた鑑」を始めました。“最初”に相応しいのはやっぱこいつでしょ。ということでルーミアです。
断定的に話しますがほとんどのことは未確定ですので適当に読んで下さい。
ポージング
ルーミアはなんといってもあの特徴的なポージングが印象的。会話でも言及されていますし、それについて本人は「十字架」をイメージしていると語っています。紅魔郷はラスボスが吸血鬼であるレミリアですから、それに対する布石のような描写でしょうか。
幻想郷でキリスト教が信仰されている描写はありません。しかし、幻想郷を創った賢者の一人である摩多羅隠岐奈は、その起源が飛鳥時代の秦河勝という人物であるとされており、秦河勝は東洋へ伝わったキリスト教である「景教」を信仰していたという説もありますから、密かにどこかで信仰されているかも……?
モチーフ
ルーミアは具体的な元ネタとなる妖怪が明確でないので、モチーフに関してはかなり漠然とした解釈を強いられます。有力かつ有名なのは、百鬼夜行絵巻の終幕を飾る赤い大火球を妖怪「空亡」と捉えたものが元ネタという説。
ルーミアが能力を発動し闇を纏った姿が球体のようであることや、道中のテーマ曲のタイトルが「ほおずきみたいに紅い魂」であることが、根拠としてよく語られます。
これには否定的な意見として、そもそも「空亡」は妖怪でないとするものが多くあります。百鬼夜行絵巻の中で、妖怪たちはこの赤い大火球から逃げる様子を描かれていますので、これは太陽であり、夜の民である妖怪が恐れをなすのは当然という事です。
太陽ではなく妖怪の一体であるという説を辿って行きますと、これが「空亡」という名で広く知れ渡ったのは、2006年発売の「大神」というゲームにラスボスとして登場した「常闇之皇」が、初期案では「空亡」という名前であったとの記述が、同作の設定画集にあったことが発端とされます。
しかし、大火球を空亡と呼んだ著作は、その以前にもありました。それが2002年発売の「陰陽妖怪絵札」という、百鬼夜行絵巻の妖怪たちを図柄にしたトランプといったもので、空亡だけでなく、他の妖怪にも名前が与えられているようです。
空亡という言葉はもともと暦や占術などで使われる十二支十干の用語です。十二支十干とは、十二の獣をして十二支、木火土金水の五行それぞれに兄と弟があり十干、そのふたつが日、月、年を区切りに平行して循環するとした思想です。ただ、十と十二を並行して循環させると二つぶんのズレが生じます。十二支は地、十干は天の相を指しますから、このズレの間は天の相が虚となる。故に天の味方しない二つ区切りの期間があり、これを天中殺あるいは空亡と呼ぶのです。
「陰陽妖怪絵札」を監修した荒俣宏氏は、百鬼夜行絵巻の大火球を「天の相が虚の間に昇る太陽の姿をした妖怪」という性質を与えたということです。
(ただ、このカードのネーミングは、明らかに塵塚怪王と思われる妖怪に「力鬼」という安直に思える名が与えられていたりと、ちょっと怪しげな気もします。これにも何か謂れがあるのでしょうか?)
本題に戻りまして、空亡は本当に妖怪ではないのか。確かに天狗などの由緒正しき謂れのある妖怪たちには劣りますが、上に記したような流れで、特に大神設定画集の直後などは証人・出典が不明瞭なまま人々に語り継がれたという実績があります。これは所謂「都市伝説」としては十分に合格ラインを満たしていると思います。東方世界では都市伝説も題材にされていますから、これも妖怪として存在するのは不自然ではありません。
また、空亡はさておいても、「百鬼夜行絵巻最後の大火球」がルーミアのモチーフとなっている根拠はもう一つあります。
出オチ
キャラ☆メルVol.3のインタビューで、東方Project原作者のZUN氏は、東方紅魔郷制作にあたって、win版初の作品で意表を突くべく考えたテーマの一つが「出オチ」であると語っています。そして、紅魔郷の出オチ要素として「東方というタイトルなのに舞台が洋館で、敵が吸血鬼」「1面のボスが闇を操るという強敵らしい設定」であるという二つ。後者は確かに出オチなのですが、前者がどう出オチなのか、分かるようで分からないですよね。
これに関し頭を悩ませていた折、私はとあるオフで大阪の妖怪展に行って、絵巻の現物を眺めながら、ある考えに思い至りました。
「横書き文化圏の観光客は、絵巻物を左から読んじゃうよなぁ」と。
#東方 #東方よみかた鑑 #ルーミア
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