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「君は灰だ」感想/描いたもの



 こちらは白鷺ゆっきーさん企画の「音降る神霊廟」に寄稿したイラスト(の一部)です。これは白鷺ゆっきーさんが募集したイラストをテーマにアレンジ曲を作って、CD&イラスト集本という媒体で頒布された作品で、最近イラストと音楽をちょっとずつ主宰さんがニコニコにアップしてあるのでぜひ。私のもあるよ。

ただいまの原曲が表示されていたり、譜面がちらちら見えたりという編集もあるので現物持ってても楽しめる動画かもです。


個人的にはひび割れた金魚鉢がお勧めです。


みこふとのこと

 唯一私がエロ本を出したカプです。あの、めちゃくちゃ気持ち悪いやつね。あんま読んだことあるひといないと思うけど。

これを製本してる時に、紙の束の折り目がちゃんと真ん中に付かなかったりと苦労したんですけど、折り目がついた紙を見て、角を揃えれば折り目の通りに折れず、また折り目の通りに折れば角が揃わず、という様にみこふと味を見出したことを覚えております。

なんというか「取り返しのつかない間違った答えを出したまま」というのが個人的にみこふとのテーマなんですよね。


絵と文のこと

というわけでみこふとのイラストを寄稿しました。


 イラスト集の方のキャプションはやや意味不明ですが、要約すると

神子「おまえ、燃えカスみたいで可愛いよね。好き。」

布都「あんたが燃えてんだよ、きっしょ。」

ということです。

これは神子と布都が初対面時に交わした遣り取りとして考えたものでした。


 真夜中に、疫病の出た集落を焼き払う光景を見ました。

炎とは何か。ヒトの目にはその明るい様ばかりが映りますが、その実態とはあるものの燃焼であり、残るのは色を失った土くればかりです。豊聡耳は幼くして燃焼を「高速の腐敗」と捉えました。燃焼を腐敗と捉える考えは、生命活動が全て肉体を死に近づけているとし、その間に境界を設けない一種のニヒリズムです。

対して仏の教えは、生と死を昼と夜のように分かち、よりよい夜を過ごす為の昼の過ごし方を説きます。民を焼いた下僕は、「彼等はこれから犯すであろう様々な罪から逃れて死に、地獄へ落ちる定めから救われたのだ。」と言います。

それらに違和感を感じていた頃、疫病を鎮める儀式の壇上に立つ真っ白な娘を目にします。

 彼女は灰の様。自らの死生観の先にある虚無たる灰も、ああも美しいものであるならば。しかし彼女は生きている。いずれ地獄に落ちるのだろうか。

こうして強く興味を惹かれた豊聡耳が白い娘に問いかけたのが、あの遣り取りとなります。

この頃はまだ仏教をちゃんと信じたい気持ちがあったんですね、あいつ。


 そして豊聡耳は布都の存在に仏教的な死生観を揺るがされ、より中庸的な、新しいアイディアを求めるようになります。あとはもう、自明の理です。


 布都の方は当時、さして豊聡耳に興味もなかったので適当に流しましたが、それ以降豊聡耳が提示した案に救いを見出し、豊聡耳を強く神聖視するようになりました。しかし奴は悩み苦しみ、どころか布都自身に変な感情を抱いたり、ととても神に足る存在では無い訳です。ので、そういった部分から目をそらし、太子様の理は世の理、と思い込もうと苦心しているんですね。よって現在の布都(絵にあるような)は、厭な顔をしてます。


 これよりちょっと前に描いたこちらの絵↓

これと同じように布都に色とりどりの汁が付いてまして、この汁のうち唯一顔に届いていない金色の汁。キャプションでは「呪い」としましたが、これに焦点を当てたんです。



曲のこと

 実は編曲に際して私の神霊廟観を理解してもらおうと、ゆっきーさんに霊廟キャラ五人分の詳細なプロファイリングメモとこれまでに描いた神霊廟に関わる制作の全てを送ってみましたところ、全部本で読みたかったと嘆かれました。


 最初聞いたときは、「いや別にこんなつもりじゃなかったんだけどな」って感じでしたね。あまりに悲壮感的な部分が前面に出ていたので、あやなんかもっと滑稽なもんなんすよこれ、って。

でも単純に、描いた立場だからというのが大きいですね。あんまり「悲しいなぁ切ねぇなぁ」と思いながら悲しくて切ない絵って描かないので。生と死を越えても実らなかった何か、みたいなのを描いている以上はあの悲壮感で丁度いいと思います。

最後の方の聖徳伝説がフェードアウトしていく感じ、顔に手が届かず腹のあたりの服を汚して滑り落ちていく豊聡耳の手が思い浮かんで非常にあれですよね。ざまぁって思いますよね。


 あとほんとくっそ個人的な好みの問題でトランペットのソロってあまり好きじゃないんだよね!!多数で束になった金管の音色ってとてもザラつきがあって気持ち良いのに、なんで単体で聞くとあんなに粘着質な音になるんだろうって思う。脂っこいなと思うんですよあの音。でもこの苦手さって豊聡耳に感じてる不快感と絶妙にマッチしてるんですよね。

耳が油ギトギトになる感じ、だいぶ癖になります。


また、ゆっきーさん本人に聞いたんですが、銀色のフルートが大神神話伝、金色のトランペットが聖徳伝説を奏でていて、楽器の色がちゃんとイメージカラーの対比になっているんですね。「色」に重きを置いた絵と文でしたから、そういった演出も痛み入ります。自分では気づけなかったんで悔しいですけど。


 改めて省みても参加できてよかったなーという企画でした。他の方の作品も、見ごたえ聴きごたえのあるもの揃いですので、機会があったら是非手に取ってやってください。


アキバホビーで手に入ります↓


 

#感想 #描いたもの #豊聡耳神子 #物部布都

 

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